一つひとつ組み立てたことが途上国の発展につながる喜び

JICA(国際協力機構) 市川裕一さん

2014/01/10

立教卒業生のWork & Life

OVERVIEW

開発途上国を支援する政府機関「JICA」の職員として働いている、市川裕一さんにお話を伺いました。

私は、開発途上国を支援する政府機関「JICA」の職員として働いています。現在駐在しているのは、エチオピアのJICA事務所。ここで、道路や橋などのインフラの整備のために日本が実施するプロジェクトの内容について、エチオピア政府の役人と協議を行っています。
相手国の政府からの要望を聞きつつも、実際につくる橋や道は、エチオピアの発展に最も近道になるものでなくてはなりません。エチオピアの国家計画に基づく必要がありますし、他国の支援状況と連携したり、重複することのないよう考慮したりする必要があります。また、つくる場所の安全性も考えなくてはなりません。相手国の政府としては、できるだけ多くの支援がほしいと考えていますし、社会的なしがらみももっていますから、さまざまな要望をあげてきます。また文化の違いからスムーズな話し合いにならないことも。しかし、どんな時でも、相手の話にしっかりと耳を傾けつつ、優先すべき事柄は何か、その順番を見極めていきます。そして、私たちの考えをできるだけロジカルに説明し、理解を求めます。このプロセスは大変骨が折れますね。相手国の満足と私たちが考えるあるべき姿の両立を目指し、あらゆる要素の最大公約数となるようプロジェクトを組み立てるのが、この仕事の難しさであり、やりがいのあるところですね。

原点は青年海外協力隊への参加

日本の技術者から指導を受けた現地の普及員が開催するワークショップを視察

もともと大学生の頃から海外への関心が高く、海外に一人旅に出かけることもあったので、大学の英語の講義は積極的に受講していました。特にネイティヴの先生による講義は、今でもよく覚えています。
そんな私がこの仕事に就くことになったのには、卒業後、IT企業を経て、青年海外協力隊に参加したことが大きく影響しています。当時私は派遣先であるアフリカのマラウィで現地の人々にIT技術を伝える仕事をしていました。ここで、周りの人々の役に立つ小さな喜びを重ねるうちに、一国の発展に対して一翼を担いたい、それを仕事としたいと考えるようになりました。
JICAの仕事に就いた今も、その思いは変わりません。もちろん協力隊員時代よりも難しい場面は多々あります。しかし、プロジェクト終了後、自分が携わった事柄がその国を支え、国の発展に繋がっていると評価されると、大きな喜びを感じますね。

グローバルに働くための資質は多様性と柔軟性

海外で仕事をするうえで必須の資質をあげるなら、多様性や柔軟性ですね。海外での仕事は想定外のことばかり。それを受け入れて、自分の中で消化し、一つ上の答えを導き出す。そういう多様性や柔軟性が大切だと感じています。また人を巻き込む力、上手くいかなくてへこんでも、すぐに切り替えて再度チャレンジする「図太さ」も必須ではないでしょうか。
時間はどんどん過ぎていき、状況は刻々と変わっていきます。ですから、私自身も意識しているのは、思ったことはやってみるということ。とにかくトライすることです。若い頃は、失敗したり、恥をかいたりすることが怖いと感じるかもしれません。でも、そこから学ぶことは本当にたくさんあります。それらのチャレンジ、経験は必ず先々に活かされると思いますよ。
※卒業学科名は入学年度によって異なる場合があります。
※所属は取材当時のものです。

プロフィール

PROFILE

市川裕一さん

IT関連企業勤務を経て、青年海外協力隊に参加。アフリカ マラウィでの活動をきっかけに、2007年JICAに就職。現在は、主にエチオピアの道路や橋などのインフラ整備事業に携わっている。

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